「感じがいい」をたいせつに
先日開催された春季東京操体フォーラムでは発表の機会をいただき、「アプローチの前にできること」というテーマでお話させていただきました。
操体臨床では、いきなり症状・疾患に対してアプローチ(施術)することはありません。
まずは「診断」からはじまります。
「診断」といっても医師がするような病名診断ではなく、「これからやろうとしていることが、ほんとうに『からだ』の要求にかなっていることなのかどうか」ということを確認していくのです。
その一つに「極性をききわける」というのがあります。
例えば、ベッドに休んでいただくとき。
頭の向きや体位、操者(施術者)の位置などを患者さん本人に、「『からだ』にききわけて」確認していただきます。
すると、「(頭を北向きにして)仰向けで休むとリラックスする」「操者は足下にいる方が落ち着く」といったぐあいに、「感じがいい」ポジションが分かってきます(毎回同じとは限りませんよ)。
そうやって、なるべく「『からだ』にとって感じがいい(本人にとっても)」空間を設定してからアプローチをした方が、「からだ」の要求にかないやすくなる。
つまり、症状・疾患の回復に必要な「からだの治癒力」が発揮されやすくなります。
これは、臨床においての話だけではなく、普段の生活にもつながる話です。
例えば、夜眠りにつくとき。
頭の向きを「からだ」にききわけて、「感じがいい」向きを確認してみる。
例えば、テーブルに向かって食事をするとき。
座る位置を「からだ」にききわけて、「感じがいい」向きを確認してみる。
いつも同じだからと決めつけずに、実際に試してみると面白いですよ。
「『からだ』にとって感じがいい」が分かってくると、生活の「質」が変わってきますから。
ぜひ、「感じがいい」をたいせつにしてみてくださいね。