あの人はなぜ効果を感じるのか
せっかく施術を受けたのなら、それなりの効果を感じたい、効果を感じられないのなら行く意味がない、ごもっともです。
それでは「効果」ってなんでしょうか?
痛くなくなった、辛くなくなった、疲れにくくなった、なんだか前より元気になった、ご飯が美味しく感じられるようになった、眠りにつきやすくなった、あんまり怒らなくなった、なんとなく調子がよくなった。
その人の数だけ感じ方がありますから、列挙した以外の「効果」もあるでしょう。
総じて、施術を受ける前の状態よりも、施術を受けた後の状態の方がより好ましい状態になっている、という変化を感じることができれば、効果があったということになります。
ということは、主訴の変化だけが効果の有無を決める基準ではないとも言えます。主訴の変化以外にも効果を感じることはできるのです。
たとえば、ここに腰が痛いAさんとBさんがいます。二人は腰の痛みを何とかしてもらおうと思って、施術を受けに来ました。
二人とも、施術を受けたあと、腰痛が三割くらい減りました。さらに、手足が温かくなったとか、施術そのものがきもちよくて全体的に力が抜けた、リラックスできたという変化もありました。
Aさんは「なんだ、まだ七割も腰が痛いじゃないか」と納得がいかない様子です。多分一回の施術でもっと痛みが減ることを期待していたのでしょう。あまり効果がないように感じています。
Bさんは「腰痛が3割も減った。施術もきもちよかったし、手足が温かくなってリラックスできた」と満足した様子です。主訴である腰痛はまだ残っていますが、それなりに効果を感じているようです。
「感じ方」は、一人ひとりの主観ですから、これが正しい「感じ方」というものはありません。ただ、主訴の変化のみに意識をフォーカスしてしまうと、消えた痛みよりも、残った痛みの方に気をとらわれたり、その他の変化を見逃すことがあります。
これは、たとえ話ですが、ちょっともったいないなあと思います。
僕のところでは、「症状」を診るのではなく、「からだ」の治癒力にお任せするというスタイルをとっています。どのくらいの期間で回復するのかも、「からだ」にお任せしています。
その場でいきなり主訴が変化することもあれば、初めに主訴以外が変化して、最終的に主訴が変化することもあります。これは僕の主観ですけど、Bさんのように感じていただけると、それだけで回復が早まることも多いようです。
何とも頼りないと思われるかもしれませんけど、僕にとって、施術とは、僕とあなたと「からだ」の共同作業。あなたに「からだ」の変化を感じていただければ、それだけ「効果」は上がるのです。
そいうこともあって、できれば、主訴以外にも、「からだ」全体の変化になんとなく意識を向けて頂きたいなあと思うのです。
といっても、その場で変化が感じられなくても問題ありません。あとから気づく場合もありますし、施術を受け続けることで、「感じ方」そのものも変わってくるからです。